●大涅槃図修繕披露 涅槃会




 平成31年3月3日、佛日寺所蔵の大涅槃図の修繕完成を記念して、本山萬福寺より近藤博道猊下をはじめ御法縁・法類の諸大徳をお招きして修繕披露並びに涅槃会を厳修致しました。
 初めに涅槃会法要、続けて今回修繕頂いた新栄工芸 西村謙一様より修繕の過程を詳しくお話頂きました。引続き管長猊下より同 西村謙一様、佛日寺奉賛会代表 渡辺勘治様に賞典を授与頂きました。続けて管長猊下より今回の修繕を祝して記念法話を賜りました。 最後に住職による謝辞にて、式典は無事に円成致しました。
 










佛日寺所蔵の大涅槃図平成大修繕を終えて

 今般、3月3日桃の節句に、佛日寺所蔵大涅槃図平成大修繕完成披露を黄檗宗管長近藤博道猊下ご臨席のもと、関係高位が一堂に会しまして賑々しくも厳粛裏に厳修いたしましたことは佛日寺の慶びでございます。

 この度の平成大修繕を終えました佛日寺所蔵の大涅槃図について、経過報告を致したく存じます。

 その前に、平成大修繕にあたりまして、平成の元号が変わるこの千載一隅のこの好き日に旧麻田藩のご末裔の皆様や佛日寺奉賛会の皆様をはじめとする檀家檀信徒の皆様方多くの善男善女の篤志により完成いたしましたことを、先ずもって御礼と御報告を申し上げます。

 佛日寺の大涅槃図の箱書きに、「寛文四年歳次甲辰蘭盆後三日、十方諸善信捨置」と染筆されています。佛日寺は麻田【今の豊中市】より移転創建された当初(承応3年・1654年)、大檀越であります麻田藩主の一建立でありましたので、十方諸善信と記述されていましても、大涅槃図の所有者・寄贈者はある程度特定されてまいります。

 佛日寺には、別に大和絵系十六羅漢絵図十六幅【昨年11月24日池田市文化財公開ウォーキングで一般公開】を所蔵しております。その十六羅漢絵図の箱書きに「青木端峰居士鎮置」とあり、青木家伝来の家宝の逸品であったものを佛日寺に寄贈されたものであります。他にも、青木家伝来の家宝であります槍や杖なども佛日寺に所蔵いたしております。

 ところで、偶然にも宇治の大本山黄檗山萬福寺所蔵の大涅槃図は、寛文4年(1664年)12月15日木村コ應(法橋コ應)仏画絵師72歳の作とされています。見事に年号だけは双方一致しております。

 仮に、佛日寺の大涅槃図が木村コ應仏画絵師の筆によるものであれば、一幅は大本山に奉納され、一幅は「十方諸善信」の手に有って、佛日寺に「捨置」喜捨されたものではないかと想像を巡らせております。

 平成大修繕が今日までと大変遅れましたが、佛日寺としましては、この大涅槃図に古美術価値や文化財価値を求めたわけではありません。現代社会に欠落している「自由で心豊かな精神世界」や現実から遠ざけられている「生死の自然の有り様」に、多少とも触れることができればと思い、紆余曲折はありましたが平成大修繕に取り掛かり、今日に至りました。

 最後になりましたが、平成大修繕をお引き受け頂きました新栄工芸の西村謙一様には、誠心誠意見事に仕上げて戴きました。池田市役所市長公室の広報報道監・山本隆様には、池田市広報誌に一般公開の記事を御掲載頂きました。読売新聞大阪本社の豊中市局長・桑原尚史様には、読売新聞に大涅槃図平成大修繕と一般公開の記事を御掲載頂きました。中外日報社京都総本社の萩原典吉様には、中外日報に修繕披露の涅槃会と一般公開の記事を御掲載頂きました。この度の大涅槃図平成大修繕を見守って頂き、修繕費用やお祝い金をご志納頂きました皆様に厚く御礼申し上げます。合掌

平成31年3月3日 黄檗宗 摩耶山 佛日寺 第十七代住職 服部潤承九拝