●春に思う

93.令和7年3月20日(木) 春彼岸会の一席
 演題「春に思う」 住職(服部潤承)


 春のお彼岸にお参り下さいました皆さん、今日は。漸く春らしくなりました。と云うのは、所によって、豪雪により交通機関が何日もストップして、不便を強いられることがありました。雪害を蒙られました方にはお見舞い申し上げます。この豪雪は地球温暖化によるものと言われています。北極周辺に寒気団があり、それが分裂してその一つが日本上空に覆い被して雪を降らしたと言われています。私のような気象の事について知らない者からすると、温暖化は地球を暖めて逆に雪を降らないものと思い込んでおりました。

 ところで、岩手県大船渡市で山火事が何日にも亘り続いていました。昨年、アメリカのロスアンゼルスでの大火事を「対岸の火事」と思っておりましたが、東日本大震災で津波の被害を逃れたものの今回、山火事で多くの家屋が焼け落ちてしまいました。フェーン現象により乾燥によるもので、これも異常気象と言われております。

 ミャンマーでは、相変わらず軍部が牛耳って一般市民と対立、それに乗じて闇バイトや特殊詐欺の拠点になって日本人の若者が監禁状態になっています。どうなることでしょうか。軽薄さがこのような結果を齎しています。

 パレスチナ自治区ガザとイスラエルは休戦期間に入っていましたが、一触即発。容赦ないイスラエルの空爆が始まりました。紛争再開は回避できないのでしょうか。両者に賢明な人物の登場を願っております

 ウクライナとアメリカとの外交の失敗により、ロシアが「漁夫の利」(両者が争っている隙に第三者が利益をさらうこと)を得るようなことになっております。「裸の王様」(批判や反対意見を受け付けず、真実が見えなく、本当の自分を理解していない権力者)です。

 そこで、唐の詩人の杜甫が安史の乱の最中に詠んだ五言律詩『春望』があります。

  国破れて山河在り---国は打ち砕かれても山や川はもとのまま 
  城春にして草木深し---町は春になり草木が茂る 
  時に感じて花にも涙を濺(そそ)ぎ---時世に胸が塞がって花を見ても涙がこぼれ 
  別れを恨んでは鳥にも心を驚かす---離別を悲しんで鳥の囀(さえず)りにも心は乱れる 
  烽火三月に連なり---戦いののろしは春三月になっても途切れず 
  家書万金に抵(あた)る---家からの便りは万金に値する 
  白頭掻(か)けば更に短く---白い髪は掻くほどに少なくなり 
  渾(すべ)て簪(しん)に勝(た)へざらんと欲す---まったく簪も挿せそうにない

 今の世界の情勢は、杜甫の漢詩が言い当てているように思います。

 昨年から歳時記の話をしております。今回は春の神事・仏事に触れてまいります。

◯正月
 ◎元日、四方拝(しほうはい)が宮中で行われます。天皇陛下が天地四方を拝され、天災が無く、五穀豊穣と国家安康・天下泰平を祈願されます。

 門松を立てて歳神(としがみ・一家の守護神でご先祖)をお迎えして、先祖と子孫が共に正月をお祝いします。

 ◎初詣は年が明けて初めて神社仏閣に参拝いたします。新しい年の平安と無事をお祈りします。

 ◎鏡開きは4日(6日・7日)に鏡餅を下げて食べるお祝いの行事で、刃物で切らずに手や木槌で割ったり砕いたりして食べます。「切る」と言わず「開く」と、お目出度い言葉を使います。

 ◎七草粥は7日に野菜不足を補うために春の七草(セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロ)のお粥を食べます。

 ◎小正月(こしょうがつ)は15日(14日・20日)旧暦で一年の最初の満月にあたり、この日までを「松の内」と云い、注連縄(しめなわ)飾りやお札などをお焚き上げする左義長(どんど焼き)を致します。

◯二月
 ◎節分は立春の前日のことで3日(2日・4日)にあたります。もともと立春・立夏・立秋・立冬の四季の分かれ目を意味します。近頃は立春の前だけ、「せつぶん」と呼ぶようになりました。季節が寒い冬から温かい春に移る時期にあたることから特別な意味(春の訪れはあらゆる生命の芽生えを迎える)を持っていたからです。この日に節分祭が行われ豆まきが行われます。豆まきの後で福豆を年令より一つ多く食べます。満年齢でなく数え歳の分を食べて1年の無病息災を願います。暗い気分を一掃して新しい春を迎える知恵です。また厄年(やくどし)は立春から始まるため、節分厄除けが行われます。

○三月
 ◎ひな祭り・桃の節句は3日、3月初めの巳(み) の日を上巳(じょうし)と云い、雛人形を飾り、桃の花やよもぎ餅をお供えして、女の子の成長をお祝い致します。人形は紙を切り抜いた「ひとかた」で身体を撫でて穢れを落とし、海や川に流します。この「ひとかた」が次第に華やかになり雛人形となり桃の花や菱餅を飾るようになりました。雛人形は節分の翌日飾りつけ、白酒やハマグリのお吸い物を頂きます。

 ◎春分の日・春彼岸の中日は20日(21日)、年に2回、昼と夜の時間が同じになる日を云います。この日を中日に、前後3日間をお彼岸と呼びます。もともと、我が国の伝統的なご先祖を敬い大切にする信心に由来しており、菩提寺やお墓にお参りするなどご先祖を供養いたします。宮中では春季皇霊祭が執り行われています。佛日寺に於きましても、このように春季彼岸会を厳修いたしております。

 最後になりましたが、朗報がございます。もうご存知の方もあろうかと存じますが、ご本山の黄檗山萬福寺の大雄宝殿(本堂)・法堂(講堂)・天王殿(玄関)の3棟が国宝に認定されました。禅寺の本山で一度に3棟、国宝に認定されることは大変珍しいことで、文部科学大臣が指定する「重要文化財」の中で世界文化の見地から価値の高いもので、類ない国民の宝たるものを国宝として認定されたものです。この国宝に認定されました3棟につきましては、次回のお施餓鬼の法話でお話し致します。最後までご清聴ありがとうございました。



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