●お付き合い

74.令和元年8月22日(木) 地蔵盆の一席
 演題「お付き合い」 住職(服部潤承)


  今年も大変暑くて、多くの方が熱中症で病院に担ぎ込まれたそうです。中には回復しないで、そのまま亡くなった方もたくさんいらっしゃいます。謹んでご冥福をお祈りいたします。そこで、今年も本堂で地蔵盆を開催いたしました。
 近頃、地域力が少しずつ弱まってまいりました。個人主義がはびこり、少子高齢化が進み、地域が手を取り合い協働することを避けるようになってまいりました。一人一人が孤立化してきています。亡くなって数日が経っているのに、近隣の方は気付きもしなかった事が多々あります。一般的に言われている孤独死であります。
 例え兄弟姉妹や親類縁者が少なくても、隣近所があります。朝昼晩のご挨拶だけでも、充分お付き合いできるものであります。お隣の人とすれ違っているのに、知らん顔ではどちらも気まずい思いをしていることです。気まずい思いをしていることさえ気付かなくなり鈍感になってしまったのかもしれません。
 ところで、今や無くてはならない通販サイト「アマゾン」。その中でも様々なサービスのあるアマゾンプライムの台詞の無い90秒のCMが2017年8月より放送されたものを紹介いたします。

 状況を想像してください。

 明け方の田舎のガソリンスタンドで、青年男子に母親からメールが届きます。

 「近くまで行くなら、一人暮らしのおばあちゃんのところに寄ってあげて。」

 バイクを走らせ田圃の脇を通り、おばあちゃんの家に立ち寄ると、嬉しそうに笑う黄色い割烹着のおばあちゃんと久しぶりに会いました。

 腰がいたいのか、歩くのも壁を伝ってつらそうにしています。

 一人暮らしを象徴するように一人分のお茶碗とお箸がおかれています。

 仏壇には亡くなったおじいちゃんの写真と、若い時に撮影した二人のツーショットの写真が目に入ります。

 バイクの横で、二人でヘルメットを抱えてオシャレをして笑顔で写っている若き日のおじいちゃんとおばあちゃんの思い出の写真でした。

 台所で料理をしている寂しそうなおばあちゃんの背中を見ながら、孫の青年男子はアマゾンプライムで何かを購入します。<なんだと思いますか>

 次の日、宅配便を受け取ったおばあちゃんは箱の中を見て驚きます。

 そして、出発。美しく広がる黄色い菜の花畑の中の道を孫の運転するバイクの後ろにまたがって、ヘルメットをかぶり嬉しそうに若き頃を懐かしんでいるおばあちゃんがいました。

 そのヘルメットは写真のものとよく似たデザインのものです。

 少しだけ目を閉じ、若き日のおじいちゃんとの日々を思い出すかのような幸せな笑みを浮かべたおばあちゃんでした。

 心温まる素敵な映画の一シーンを見るようでした。
 この地藏盆が、親子・孫子の関係を考えるよき機会となり、切っても切れない縁に気づき、この縁が益々深く温まっていくことを願ってやみません。



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