●七転八倒の人生

令和3年4月掲載

 ※原文は縦書きのため漢数字で表記しております。

 生きるという事は苦しみの連続ですね。次から次から困難がやってきます。不器用な私は卒なく過ごしたいと思っていても失敗ばかりして、その都度落ち込んでしまい、中々次の一歩を踏み出せないことが多々あります。まさに人生「七転八倒」です。実はこの「七転八倒」という四文字熟語は禅語からきております。

 唐の時代に、大寧院可弘(だいねいいんかこう)禅師という和尚が居られました。ある時、修行僧が和尚に質問をしました。

 「この道さえ歩いてゆけば、絶対に間違いのない真実の道とは、一体どのようなものでしょうか?」

 和尚は「七転八倒」と一言答えました。

 真実の生きる道とは、起伏の無い平坦な道ではなく凸凹だらけの失敗の連続というわけです。詩人の相田みつをさんはこのような詩を残されています。

 つまづいたり ころんだり するほうが
 自然なんだな にんげんだもの

 私たちはまだまだ仏には程遠い存在です。それを人間(にんげん)と言います。だから上手くいくことばかりではなくて、失敗するのは当たり前です。しかし、失敗するのは当たり前ですが、そのまま倒れて腐っていてはいけません。それでは「一転一倒」のままです。そこからいつかは立ち上がらなければなりません。どのように立ち上がるかに関しては、厳しいプロボクシングの世界で活躍されている細川バレンタインさんが、YouTubeにて勇気を与えてくれる言葉を配信されています。

 どれだけパーフェクトにできるというよりも、
 倒れても倒れても倒れても どれだけ起き上がれるかが大切

 人生に深みがある人は 挑戦してきた人
 挑戦してきた人は 例外なく失敗を繰り返している。

 負けた人間が立てなくなった時に、はじめて負けが決まるわけです。失敗してしまってひどく落ち込んだということは、何かに挑戦したということです。そのどん底からどれだけ時間が掛かっても、必ず立ち上がるのです。苦しくとも立ち上がるのです。立ち上がることさえできれば、いくらボロボロであっても、いくら惨めであっても本当の負けではありません。自分に打ち勝ったということになります。「七転八倒」ということは、「少なくとも六回は立ち上がることができた」ということを表しています。皆さまも辛い時こそ、この言葉を思い出して頂ければと思います。


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