※原文は縦書きのため漢数字で表記しております。
十三重の塔を境内に再建立してから数か月が経ちました。夏には境内庭園が完成すると申しておりましたが、まだまだ時間がかかりそうです。
私、春からDIYをしております。DIYとは「Do Tt Yourself」の略で職人さんや業者さんにお願いせずに「自分自身でやってみる」という意味です。十年前に東司(トイレ)横の庭にホームセンターで買った白玉砂利を一面に敷いていたのですが、月日が経つと汚くなり、大半が泥の中に沈んでしまいました。まずこれらをスコップと鍬(くわ)で掘り出し、篩(ふるい)にかけて余分な土を落とし、笊(ざる)の中でお米をとぐように洗いました。見た目以上の量があり「終わる気配がない、やめとけばよかった…。」と後悔しながらも、法務の間をみつけては土だらけになり、一週間以上もかけて洗い終えました。爪と時間を擦(す)り減らしたものの汚れは完全に取れず、残念ながら煤(すす)けた石になってしまいました。次に縁石と飛び石を新しく据(す)えました。造園屋さんの作業を見たことがあり、誰でも出来そうと思っていたのですが、実際やってみると石が相当重くて運ぶのに難儀しました。足腰を駆使しやっとのことで目的地に置いたとしても、そこから水平を取るのが実に難しく、合点がいくまで何度も何度も掘り起こし、埋め直しを繰り返しました。次に防草シートを敷きました。YouTubeで他の方のDIYを見ておりますと、「防草シートを敷くという一手間が大切」だというのです。これによって、「砂利が土に沈まない」、「雑草を抑制(よくせい)する」という二つの利点があるとのことです。上手に敷けたのは良いものの、ここで問題が起こりました。シートの上に先ほどの洗った砂利を敷いたものの、量が全然足らないのです。シートを敷くために転圧したため(デコボコしていると水たまりができる)、地面が下がった分だけ砂利の必要量が増えたのです。結局足らない分はホームセンターで買い足すことになりました。最後に苔と植物を植えて一旦は完成となりました。私の拙い庭ですが東司ご使用の際にはご覧頂ければと思います。今回のDIYで分かったことは職人さんの有難さと、自分でやってみないと分からないことが多いということです。
さて、禅語に「冷暖自知(れいだんじち)」という言葉があります。目の前にコップがあり中に透明な液体が入っているとして、それが熱いか、冷たいか、どの様な味がするか、は飲んでみるまで分からないということです。自分で体験して初めてその大変さを体得するのです。はたから見て「楽そう」「簡単そう」と見えても、やってみるまで分かりません。また、人生においてもそうです。「隣の芝は青い」という言葉がありますが、他人は恵まれて幸せなように見えます。しかし、これも本当にその人の立場にならなければ分からないことが多いのです。皆さん人には言えない「実は…」と、苦しい苦しいものを抱えて生きています。短絡的に「あの人は…」、「あの家は…」、「あの職業は…」とレッテルを貼ってはいけません。簡単に出来ることではありませんが、その人の境遇、立場になって考えてみる時間を持つ必要があります。
最後になりましたが、八月はお盆でございます。ご先祖様、ご親族様と集まってご縁を再確認して、精神的に支えあって頂ければと思います。
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