●防犯

令和5年2月掲載

 ※原文は縦書きのため漢数字で表記しております。

 最近、とても物騒です。フィリピンの収容所から犯罪者が日本国内の人間に強盗を指示したとのこと。犯人は巧妙にSNSを使い、報酬百万円という高額報酬に釣られた人間が実行犯となりました。実行犯には二十〜三十代の若者が多く、コロナ禍や物価高騰で貧困に苦しんでいたのではないかとのことです。まるで映画や小説の話と思えるような事件です。このようなニュースを見ると、私達も防犯意識を更に高めていかなければならないと思います。例えば普段の戸締りです。出入り口は言うまでもなく、入れるはずもない格子のついた窓や上階の窓からでもプロは巧妙に入ることができます。補助錠を付けるのも良いかと思います。また、カメラ付きインターフォンや、防犯カメラを付けて姿や行動を見てから扉を開けることも必要かと思います。特に防犯カメラを設置するときは、ご近所さんと視覚を補いあうように設置すると近隣全体の防犯が上がります。電話では保険業者やリフォーム会社等の業者を騙(かた)り個人情報を集めリストにする人間がいるそうです。ナンバーディスプレイ付きの電話機に買い替えて、見慣れない怪しい番号や非通知には決して出ないようにしなければなりません。

 さて、外からやってくる敵に対処することも大切ですが、自らの内側から湧いてくる敵に対処することも大切です。今月はお彼岸ですので仏教徒の皆様は仏道修行を行う期間です。禅宗においては「禅定(ぜんじょう)」といい、坐禅で心を安らかにする時間をもつのはいかがでしょうか。この坐禅を妨げる内なる敵に「五欲(ごよく)」「五蓋(ごがい)」というものがあります。

 まず「五欲」とは、眼耳鼻舌身の五感が外界に触れることで執着することです。美しいなぁ楽しいなぁもっと見ていたいなぁ、この歌や声をもっと聞きたいなぁ、いい匂いだなぁもっと嗅ぎたいなぁ、いい手触りだなぁいつまでも触っていたいなぁといったものです。普段の私達の生活は五欲の刺激に満ち溢れています。それに囚われてしまうと、心を煩(わずら)わし心静かに坐禅なんてする気にはなりません。まずはこの五欲の存在を認めそこから距離をおかなければなりません。

 次に、「五蓋(ごがい)」ですが、これは自らの坐禅をしたいという心を覆い妨げる五つの蓋です。一つ目は「貪欲(とんよく)」です。異様にあれが欲しい、こうなって欲しいという心です。二つ目は「怒り」です。腹を立てて悪意を持ち異様にイライラすることです。三つめは「昏沈睡眠(こんじんすいめん)」です。心が陰鬱(いんうつ)としてだるくて何もしたくなくなることです。四つめは「掉挙(じょうこ)」です。心が高ぶり興奮しているような状態で過去のことに後悔することです。最後は「疑(ぎ)」です。佛の教えや自分そのものを疑うことです。

 これら内なる敵を取り除くにはどうすれば良いかというと、本末転倒ですが坐禅をおこなうことです。心をなんとかしようとすれば自らの体をもって実践することが大切です。禅は実践の教えです。心を空っぽにして坐禅をする時間を持っていただければと思います。肩の力を抜き背筋を伸ばし、丹田(おへその底)から深呼吸をし、心を正してまいりましょう。ちなみに佛日寺の坐禅会は毎月第二日曜日午前六時に開催しています。

 外敵も内敵もまずは行動を起こすことで防いでいくことに繋がります。


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