佛日寺住職

●佛日寺歴代住職

　佛日寺は１６５９年に隠元隆琦禅師によって開創され、明より共に渡来した一番弟子、慧林性機禅師が初代住持を任命され、２０年の間護寺御法を勤める。慧林禅師が萬福寺の３代住持に任命された後は、高泉性敦（萬福寺５代住持）、慧極道明と名だたる高僧が住持を務めており十方住持制の様相を呈していた。その後は現在まで（一部の例外を除き）慧林禅師の法系（龍興派）が住持を勤める一流相承刹となる。以下、法系図と詳細を記す。

　「初代　慧林性機」
　福建省福州福清県の代々教師の家庭出身。万歴３７年（１６０９）に誕生、隠元禅師に師事し共に渡来する。隠元禅師より佛日寺の初代住持に任命され２０年住山する。天龍寺延宝７年（１６７９）には黄檗山に晋山して３代住持となる。萬福寺龍興院を塔所とする。
　　⇒　「初代慧林性機禅師ページ」

　「準世代　高泉性敦（＋サンズイ）」
　福建省福州福清県の代々教師の家庭出身で、崇禎６年（１６３３）に誕生。中国萬福寺にて隠元禅師に師事し続けて慧門禅師に参じる。順治１８年に日本に隠元禅師の７０歳のお祝いと帰国の要請のために渡来。慧林禅師晋山の際に、後事を託され延宝８年（１６８０）佛日寺２代住持となる。元禄５年（１６９５）萬福寺５代住持となる。元禄８年には５代将軍徳川綱吉公より紫衣を賜る。

　「準世代　慧極道明」
　聖林派の派祖。元禄１０年（１６９７）入寺して荒廃していた佛日寺を整備する。萩藩東光寺や狭山藩法雲寺といった大名刹の開山禅師。

　「２代　別傳道経」
　日本石見国に生まれる。延宝２年（１６７４）に慧林禅師に嗣法し、三田の式廬山大舟寺に住山する。能筆であり『応頂山勝尾寺縁起』や『神秀山満願寺縁起』等の近隣寺院の縁起を執筆している、また、文化面でも秀でており四方招き煎茶大会を開催したと伝えられる。佛日寺住持に迎えられ、これより慧林禅師の法孫が住持を務めることとなる。

　「３代　黙堂道轟」
　慧林禅師に嗣法。肥前平戸の瑞岩寺の開山となり、平戸周辺から壱岐島にまで教線を広げる。黄檗宗の法器である「香灯（ヒャンテン）」は、壱岐において「サンテン（画像クリック）」として伝わり、「壱岐歎佛（画像クリック）」という法要において使用される。現在も慧林禅師の法香が幽かに感じられる。

　「４代　義海元潮」
　別傳禅師に嗣法。

　「５代　扶桑元暾」
　黙堂禅師に嗣法。佛日寺の中興開山。伊達藩大年寺へ晋住のため退山する。

　「６代　祖梁元柱」
　黙堂禅師に嗣法。寶歴７年（１７５７）より住持となる。

　「７代　大義元田」
　黙堂禅師に嗣法。寶歴１１年（１７６１）より住持となる。

　「８代　石芝浄祥」
　慧林禅師法嗣の香国道蓮禅師の法灯。明和４年（１７６７）より住持となる。

　「９代　雪庭衍傳」
　別傳禅師の法灯。享和２年（１８０２）より住持となる。

　「１０代　金獅智威」
　香国道蓮禅師の法灯。明治３年（１８７０）より住持。萬福寺の第３６代を継席する。

　「１１代瑞翁眞璞」
　黙堂禅師の法灯。明治４年（１８７１）より住持となる。

　「１２代石蘂通農（＋ノギヘン）」
　慧林禅師の流れではなく、例外的に萬福寺準世代の即非如一禅師の法灯明治６年（１８７３）より住持となる。

　「１３代　無外通円」
　別傳禅師の法灯。明治１８年（１８８５）より住持となる。当時、鎖国政策をとっており邦人未踏であったチベットへ入国した、求道者である河口慧海禅師が一時師事する。

　「１４代　仁能弘規」
　無外禅師に嗣法。元は高槻藩家老の三島氏。明治２６年（１８９３）より住持となる。

　「１５代　承董仁奉」
　名古屋の生まれ。竹田益州老師らと共に建仁僧堂師家　竹田黙雷老師に参じる。三国の自敬寺、新高の福泉寺、善通寺（廃寺）当寺の４ヶ寺の住持を務める。昭和６年（１９３１）より住持となる。

　「１６代　承仁広道」
　昭和３７年（１９６２）より住持となる。本堂の再建をする。

　