●莫妄想

87.令和5年3月21日(火) 春季彼岸会の一席
 演題「莫妄想」 住職(服部潤承)


 今日は<合掌>。すっかり春らしくなりました。半年ぶりの再会、ご無事でしたか。3月13日からマスク着用が自由になりましたが、感染者数や感染による死亡者数が少なからずありますので、今回の彼岸会も二部制にし、密を避けました。

 新型コロナウイルス感染による死亡者が7万人を超えました。「戦争状態に入れり」と言わんばかりの死者数です。ただただご冥福を祈るほかございません。3月13日に、マスク着脱は自己責任において行うことになりました。「着けても、着けなくてもよい」と言う個人の判断によるものになりました。

 また、来る5月8日は、新型コロナウイルスも2類感染症から5類感染症に格下げになり、梅毒・侵襲性肺炎球菌等と同じ感染症扱いになりますので、各自が注意し感染予防に努めなければなりません。そこで、マスク着用について、再認識することができます。本当のところ、効果の程はわかりませんが、マスク着用により、「感染しない・感染させない」と言う態度を示すことができます。

 ところで、佛日寺のホームページを開設して23年になります。佛日寺の情報を世界中に配信しております。佛日寺を検索しますと、佛日寺に関する記事がたくさん出てまいりますが、その中に混じって「佛日庵」の記事が少なからず出てまいります。そこで、「佛日庵」を開いてみると、鎌倉にある臨済宗円覚寺派の塔頭寺院で北条時宗公が祀られている由緒正しき禅寺でございます。

 現在、ご住職の奥様が大変ご活躍され、『寺歌(てらうた)』と称してコンサートなどのライブ配信をされユーチューブで視聴することができます。ご住職・奥様とは全く面識はございませんが、『佛日』の寺号が共通しているところから、興味深く視聴しました。ご住職は正装で登場し経典を諷誦されますし、奥様は素晴らしい曲を選ばれショートカット・作務衣姿で演奏されています。一度、『寺歌』をPCやスマホで検索してみて下さい。

 そろそろ本題に入りたいと思います。ロシア軍のウクライナ侵攻が1年以上続いています。止める気配はありません。一方的にロシア軍が侵攻し、ウクライナはロシア領への反撃さえもできないアンフェアな状況下の戦争は、ただただ憂えるばかりです。ロシアは「勝利を夢見る妄想」を「早く止めよ」と大きな声で叫びたくなります。

 日本もウクライナと同じような憂き目に遭ったことがあります。先程、「佛日庵」を紹介いたしましたが、鎌倉時代、時の執権「北条時宗公」が元の軍(元寇)の侵攻に頭を痛め、南宋の渡来僧で円覚寺ご開山の無学祖元禅師(1226年〜1286年)に相談したところ、「莫妄想」を諭されました。…済んだことは忘れよう。今できることに全力を尽くそう。未来をつくるのは、今の努力しかない…と。元の軍は二度侵攻しますが、二度とも暴風雨「神風」に遭い壊滅状態に陥ります。うまく難を転じました。その時の「北条時宗公」の心境は、「珍重す大元三尺の剣、電光影裏に春風を斬る(元の兵に、首をはねられそうになった時、私は春風、斬れるものなら斬れ)<無学祖元禅師>」であります。

また、『無業(むごう)の一生、莫妄想』と、無業和尚(760年〜821年)は、一生涯、何を尋ねても「莫妄想」と口癖のように繰り返していました。「妄想すること莫れ」…くよくよ考えるな。今に集中せよ…と。

 妄想とは、邪念・空想・迷信を言います。特に、左右・上下・生死・善悪・勝敗などの二つに分ける想念を作り出し、その一方にとらわれ、迷い、苦しむことであります。この二つに分ける相対的な二項対立の分別心が妄想であります。

 「莫妄想」とは、前身全霊をかけ、一心不乱に一念不動・一意専心・無二無三にやりきることだと思います。昨年は隠元禅師の350回忌でした。ご本山での遠諱事業であります授戒会に有志が参加され、善い記念となりました。また、豊中市では記念講演会・特設展示を開催されました。池田市では特別展が開催されご本山から管長猊下が巡察されました。

 佛日寺では、現在、隠元禅師350年遠諱記念として、庭園の改修をいたしております。庭園名を『厳統の庭』と致します。竣功は夏と考えておりますが、いつでも御覧いただけるようにしておりますので、気軽にお立ち寄りください。



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