●一華開五葉 結果自然成

84.令和4年3月21日(月)・4月3日(日) 隠元禅師350 年大遠諱法要・春季彼岸会の一席
 演題「一華開五葉 結果自然成」 住職(服部潤承)


 この4月3日は、隠元禅師の350年大遠諱を迎えます。そこで、350回忌の法要と春季彼岸会を密にならないように、3部制により少人数開催をいたします。この度の新型コロナウイルス「オミクロン」は感染力が強いと言われており、1月のお正月以降、急激に拡大しました。次の「ステレスオミクロン」も「オミクロン」以上1,5倍の感染力を持っていると言われていますので、少人数3回に分かれて厳修しておりますので、「安心・安全」を保っております。
 令和3年4年はオリンピック・パラリンピック夏季・冬季を観戦できたことは、良かったと言わざるを得ません。本当にWithコロナが成功したと思います。
 イタリアで「ボール」を意味する『ボッチャ』は、パラリンピックの球技の一つです。最初にジャックボール(白)を投げ、青と赤の各6個のボールを目標のジャックボールの近くに投げたり、転がしたりするところから『地上のカーリング』とも言われています。男女性別なく、1:1の個人戦・2:2のペア戦・3:3の団体戦があり、様々な障がいの選手に対応し、ルールがアレンジされています。
 ところで『カーリング』と言えば、冬季オリンピック種目の一つで、「氷上のチェス」と言われております。スコットランドが発祥で、ゴルフと同じく審判員がいないセルフジャッジで、スポーツマンシップを重視し相手を敬うのが「カーリング精神」と言われています。
 『カーリング』1チームの選手は、4人のように思っていましたが本当は5人です。「リード」「セカンド」「サード」「スキップ」「フィフス(リザーブ)」。試合には登場しませんが、陰で支えているポジションがあります。それが「フィフス(リザーブ)」です。控え選手のように見えますが、ただの交代要員(補欠)ではありません。見えないところで、チーム・試合のために重要な役割を果たしています。
 フィフスはナイトプラクティスの時間(試合前の練習時間)には、ストーンチェック(癖をみる)、データとり、会場の空調・氷上状況など試合前のリサーチをし、試合中は、コーチ席から試合を見守り、分析をします。朝早くから夜遅くまで、体力・技量・キャリヤ・メンタルを兼ね備え、メンバーからの信頼が絶大であることが必須であります。
 今季オリンピック・『カーリング』の「フィフス」は石崎琴美選手でした。2010年バンクーバー五輪で「リード」を担当し、今季オリンピックのチーム全員が石崎琴美選手に「フィフス」を希望しました。その結果が『銀メダル』となったのでしょう。

 本題「一華(いっげ)五葉(ごよう)を開き、結果自然(じねん)に成る」は『少室六門集』(達磨大師著)に出てくる有名な禅語です。「一輪の華が五つの葉を茂らせ、やがて立派な果実を実らせる」と言う意味ですが、含蓄に富んでいるようです。

達磨大師の禅風が将来、五家【・臨済宗・曹洞宗・雲門宗・法眼宗・イ仰宗】に分かれて展開・発展すると言う意味もあります。

また、初祖達磨大師・二祖慧可・三祖僧サン・四祖道信・五祖弘忍・六祖慧能と達磨大師の禅は五代を経て五家に分かれて開花しました。仏性に目覚め、仏に近づきます。純粋な心を忘れず、美しい心の花を咲かせます。煩悩・妄想が消え、本来の無垢な自己に立ち返ります。心の中に悟りの花が一輪咲けば、仏の五つの智慧が実りとなって働きだします。
 五つの智慧『五智』とは、

  ・大円鏡智(だいえんきょうち)・・・生まれながらにして持つ、無垢でありのままの心。鏡のように世界をそのまま見る智慧。

  ・平等性智(びょうとうしょうち)・・・周りのすべてのものが仏性を有し、平等であると知る心。すべて差別なく見る智慧。

  ・妙観察智(みょうかんさっち)・・・平等の中にもそれぞれの個があり、違いがあると知る心。人をよく観察する智慧。

  ・成所作智(じょうしょさち)・・・仏の心と同じく他を思いやり、大切にする心。人を救う智慧。

  ・法界体性智(ほっかいたいしょうち)・・・身の周りにあるすべてのものは仏のあらわれと知る心。最高の智慧。

 最後になりましたが、この度、隠元禅師に350年大遠諱に合わせて、人皇126代今上天皇徳仁(なるひと)陛下から、諡号『厳統大師』が下賜されました。

『厳統』の意味は厳格で綿密な宗旨、宗統、法統(伝統)の事です。

 1637年、隠元禅師46歳の時、福建省の黄檗山萬福寺の住職を依頼されますが一旦はお断りになるものの受諾されます。10月1日を晋山の日と決められます。ところが黄檗山に登る途中に、舟形の巨石が横たわっており、通行を妨げております。大衆は折角の隠元禅師の晋山なのに、石が平らかでないことを残念がりました。隠元禅師はおっしゃいました。「時節若し至らば、自然に平らにならん」と。不思議なことに、この巨石は平らになり、これを『自平石』と名付けられたのであります。「結果自然に成る」のであります。

 今、池田市歴史民俗資料館で、企画展「池田の黄檗寺院〜隠元禅師没後350年記念〜」が6月26日まで開催されています。佛日寺からも大切な寺宝を数点出展しておりますので、是非ともご高覧下さい。また、佛日寺では、5月29日(日)午後2時から4時、隠元禅師350年遠諱記念『佛日寺寄席(社会人落語会)』を開催致します。概要は、定員60名、ご志納500円、出演者池田家夢彦さん・五月家ちろりさん・猪名川亭喜真理さん、申込は佛日寺(072-753-2567)までです。



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